春から大学へ通うために一人暮らし、住民票の異動は必要?

役場・役所

大学の入学試験に合格し、実家から遠く離れた大学へ通うことになり一人暮らしすることになった。

実家から大学へ毎日通うのは時間もお金もかかるから、大学の近くで家を借りて一人暮らしすることになった。

そんな学生の方も多いことでしょう。

一人暮らしとなる家を契約して(たいていの場合は保護者の名義かな?)、家財道具などを購入して契約した家に運び入れる。

住みだすと必要な電気・ガス・水道などの契約手続きを電話やネットで行う。

これで住むことは可能で、この新しい家から学校へ通うわけですね。

 

でも他にも手続きってありますよね?

たとえば住民票の異動

転居してから14日以内に新しい住所地の市区町村役場で転入の届けを出す必要があり、怠った場合には過料が科されることがあります。

でも多くの一人暮らし学生は住民票を異動させていないようですが、特に問題はないのでしょうか。

メリットやデメリットとともに解説していきます。

 

 

住民票の異動は市区町村役場で手続きを行う

住民票(住民基本台帳)には、氏名、生年月日、性別、住所、世帯主との続柄などが記録され、国民健康保険、国民年金、児童手当、選挙人名簿への登録など各種行政サービスの基礎となっています。

つまり市区町村役場で転入届などを提出することであなたの基礎的なデータが登録されて、さまざまな行政サービスに活用されるわけです。

また法律によって引越しをした日(住民となった日)から14日以内に届け出る必要があり、怠った場合には5万円以下の科料に処されることがあります。

 

手続きは市区町村役場で行います。

 

別の市区町村へ引越しする場合は
元の住所地の市区町村役場で転出届を提出して転出証明書を受け取る。

新しい住所地の市区町村役場へ転入届に転出証明書を添えて、転居後14日以内に手続きを行います。

 

同じ市区町村内での引越しの場合は

市区町村役場へ転居届を、転居後14日以内に提出します。

なお住民票の異動に関する詳しい説明は下記の記事を参考にしてください。

住民票 転出・転入届と転居届やマイナカードの住所変更について
マイナンバーカードを使えばマイナポータルで引越しの「転出」の手続きに大半はできてしまいます。ただし「転入」や同一市区町村内の「転居」の手続きは、新たな居住地の市区町村役場へ行き手続きが必要です。引越し時の手続きのあれこれを説明しています。

 

 

学生の一人暮らしの場合も住民票の異動は必要なの?

原則で言えば、転居後14日以内に新しい住所地の市区町村役場へ転入届または転居届を出さなければ、過料に処される可能性がある法律違反となります。

ただし例外的に下記の場合には住民票を異動しなくても罰せられるようなことはありません。

 

  1. 新住所地に住むのが一時的で1年以内に戻る見込みがある場合
  2. 生活の拠点が変わらない場合

 

1.のケースでは、単身赴任で1年間実家を離れる場合などが想定されますね。

そして2.のケースでは実家から学校までが遠いために家を借りて一人暮らしはするものの、あくまで学校へ通うためであって、週末には実家に帰るなど生活の拠点は変わっていない場合などが想定されます。

また大学へ通うために仕方がなく家を借りて一人暮らしはするものの、卒業後は実家に戻るという方も含まれるでしょうか。

 

でも大学卒業後は実家には戻らずそのまま就職する方も多く、就職前に住民票を異動させれば特に問題はありませんし、実際にそういった方の方が多いようですし、過料の処分を受けたという話も耳にしたことはありません。

なので現実にはほとんどの方は住民票を異動させずに通学しているでしょうね。

 

 

住民票を異動させるメリットとデメリット

では一人暮らしをする学生が実家から現在の住所地に住民票を異動するメリットとデメリットを見てみましょう。

 

選挙権

選挙権の行使は住民登録を行っている市区町村となります。
住民票を異動させていないと実家のある市区町村へ行って投票することになります。

 

運転免許証

運転免許を取得する際には運転免許試験場において住民票の写しの提出が必要です。

住民票を異動させていない場合には、住民登録している都道府県の免許試験場で免許を取得することになります。

実家と一人暮らしの住所地が同じ都道府県の場合はあまり問題はないかな?

 

免許証の更新は免許証に記載された住所地(都道府県)で行います。

違反運転者ではなく記載事項変更などの手続きがない場合は、免許証記載の住所地(都道府県)以外の免許更新センターで更新手続きを行うことができます。

条件ありですが住所地以外でも運転免許証の更新手続きは可能です
運転免許証の更新手続きは住所地以外の更新センターなどでも可能で、短期の単身赴任などの場合には便利な制度です。また運転免許所を紛失した状態での更新手続きは住所地の更新センターなどへ。住所地以外の更新センターでは更新できません。

 

運転免許証の住所の変更を行うときには、必ずしも住民票の写しが必要なわけではありません。

住民票を異動させていなくても新住所地宛ての電気・ガス・水道など公共料金のお知らせや、消印が押されている新住所地への郵便物があれば提示することで住所の変更は可能です。

 

国民年金

大学生であっても20歳を超えると国民年金保険料を支払わなければなりませんが、納付のお知らせなどは住民票の住所地へ送られますので、住民票を異動していなければ実家に届くことになります。

学生納付特例制度によって保険料の納付を猶予する場合は住民票上の住所地の役場において手続きすることになります。(お近くの年金事務所でも手続きは可能です)

 

健康保険

健康保険証は保護者の会社で手続きをしてもらいます(社会保険の場合)

国民健康保険の場合は実家の所在地の市区町村役場において住民票の転出届を済ませた後に「遠隔地被保険者証」(市区町村によっては「国民健康保険学生用保険証」など名称が異なります)の手続きを行います。

いずれの場合も最近は健康保険証が個人単位のカードタイプになっていることから、住民票を異動しなくてもカードタイプの保険証を送ってもらえば実害はないですね。

 

成人式の案内

成人式の案内は住民票の住所地の役場から送られてきます。

一人暮らしで住民票を移した場合には、現在の住所地の役所から送られてきます。

でも元々住んでいた実家近くの成人式へ出席して旧友と会っておしゃべりしたいですよね?

横浜市のように明確に住民登録していない人の出席は断るとしている市区町村は珍しいのですが、大半の市区町村では成人式の案内が無くても式への出席を認めています。つまりは現在は別の市区町村で住んでいても、ほとんどの市区町村では成人式への出席を認めています。

HPを確認するか、各市区町村へ問い合わせてみましょう。

 

住民票の写しが必要な時

住民票を異動させていなければ当然ですが、実家のある市区町村役場へ取りに行くか、送ってもらう必要があります。

中にはアルバイト応募時に住民票の写しの提出を求められることもあるわけですが、住民票を異動させていないと意外と面倒ですよ。

ただしマイナンバーカードを発行しておれば、お近くのコンビニで取得できます。

 

銀行やクレジットカード

住民票を異動させていない場合、例えば口座開設時に必要な書類はすべて実家へ届くことになりますし、キャッシュカードも実家へ届くことになります。

キャッシュカードやクレジットカードは本人限定郵便で届きますし転送不可なので、実家または実家近くの郵便局へ受取に行く必要があります。

 

 

一人暮らしの学生は住民票を異動するべき?

法律上は住民票を異動しなければなりませんが、学生の場合は異動しないからと言って過料に処せられることはまずありません。
また選挙権や運転免許証に関することや公的な書類(住民票の写しなど)が必要な場合には不便かもしれませんが、住民票を異動しないからと言って普段の生活で支障をきたすこともありません。
一人暮らしを機にさまざまなことにチャレンジするのならば、はじめての行政手続きとして住民票の異動(転出・転入・移動)をしてみても良いかもしれません。
住民票を異動させるとあなたは「世帯主」となりますが、だからといってアルバイトなどで高収入を得ないかぎり税金がかかってくるなどの心配もいりませんよ。