たとえば家を借りるときに不動産屋さんで、印鑑(実印)、住民票、印鑑証明書などとともに収入証明書の提出を求められることがあります。
会社員などどこかの会社などで働いておれば、源泉徴収票や直近2~3か月の給与明細書でOKな場合がほとんどです。
しかし役所で支援金の申請などを行う時には源泉徴収票はダメで、課税証明書や特別徴収税額決定通知書のコピーの添付が必要だったりします。
収入証明書っていったい何を指していて、どこでもらえるものなのでしょうか。
収入証明書という書類は存在しない
まず「収入証明書」とは、あなたの収入を知るための書類のことでさまざまな証明書をまとめてこのように呼んでいます。ですので「収入証明書」という名称の証明書は存在しません。
一般的に「収入証明書」に分類されるものとしては
- 所得証明書
- 課税証明書
- 非課税証明書
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 給与明細書
- 納税証明書
などがあります。
源泉徴収票
会社勤めの方はその年の年末に「源泉徴収票」が発行されるので、収入証明書の提出を求められれば「源泉徴収票」で大丈夫だろうと考えがちですが、役所に提出する「収入証明書」としては使えないことが多いのをご存じですか?
役所へ支援金の申請(高校無償化など)の際には収入証明書のコピーの添付が必要なのですが、「源泉徴収票」はダメで「課税証明書」や「特別徴収税額決定通知書」のコピーを提出するように求められます。
(マイナンバーカードのコピーを提出でOKな場合が多くなっていますが)
「源泉徴収票」とは、あなたが勤めている会社でどのくらいの税金を源泉徴収によって納めているのかを示すもので、あくまで1つの会社だけでの話です。
複数の会社で働いていたらそれぞれの会社で「源泉徴収票」が発行されるわけですから、1枚の「源泉徴収票」では1つの会社での収入や所得しか分かりません。また株やFXなどで得た所得も「源泉徴収票」では分かりませんよね。
これに対して「課税証明書」はあなたのすべての収入・所得についての証明となりますので、すべての収入・所得によって支給の判断がなされるものについては「源泉徴収票」ではダメなんです。
しかし、家を借りるときや住宅ローン・カードローンなどの申し込みの際には「源泉徴収票」で事足りるケースが大半です。
最低〇〇万円の収入があれば審査を通過できるということがほとんどで、その基準を1枚の「源泉徴収票」でクリアできれば「課税証明書」がなくても問題がないからです。
源泉徴収票はどこでもらえる?
「源泉徴収票」は勤務先の会社等が源泉徴収した税金等を証明する書類で、勤務先の会社が発行する書類です。過去の年度の「源泉徴収票」も会社は申請されたら発行しなければいけません。会社によって申請する部署が違うでしょうから、お勤めの会社の総務部等にお問い合わせください。
所得証明書や課税証明書
「所得証明書」「課税証明書」「非課税証明書」は市区町村役場で発行されます。なおほとんどの役場では「課税(所得)証明書」として発行されますので、「所得証明書」と「課税証明書」は同じ書類だと考えていただいても問題ありません。
「非課税証明書」は収入がなく住民税は課税されていないということを証明する書類になります。
これらの書類は自営業者などが主に利用する書類で、会社勤めで住民税を給料から天引きされている方は「特別徴収税額決定通知書」(住民税決定通知書・納税通知書と呼ぶ自治体も)が5月ごろに配布されます。こちらを利用することもできます。
「特別徴収税額決定通知書」を紛失したり、会社でもらっておらず手元にない方は、市区町村役場で「課税(所得)証明書」を発行してもらいましょう。
「課税(所得)証明書」を役場でもらおうと思っても、平日は仕事で行けない方も多いわけですが、役所のHPで申請用紙をダウンロードして必要事項を記入し、本人確認書類(免許証などのコピー)や手数料相当分の定額小為替(郵便局で購入できます)、返信用封筒に切手を貼ったものも同封して役場へ郵送すれば、数日で送ってもらえます。
またマイナンバーカードが発行されていればコンビニでも入手でき、役場の窓口が閉まっている時間でも発行可能(休止時間を設けている自治体もあります)で、さらに窓口で請求するより手数料が安い場合が多いので便利ですよ。
確定申告書
「確定申告書」も収入証明書として利用できます。税務署等に「確定申告書」を提出するのですが、控えは手元にあるはずです。
控えに税務署の押印またはe-Taxなど電子申告の場合には受付日付と受付番号が記載されていますので、その控えをコピーして利用します。控えに税務署の押印がない場合には収入証明書として利用できませんので、市区町村役場で「課税(所得)証明書」を発行してもらうことになります。
給与明細書
特に説明の必要はありませんね、支払われる給料の明細書です。
家を借りるときなどに直近2~3か月分くらいの「給与明細書」の提出を求められることがあります。給料が振り込まれたらすぐに捨ててしまう方も多いですよね。
「給与明細書」の再発行は会社に依頼することになるのですが、「源泉徴収票」と違い再発行の義務が会社にはありません。このため会社によっては「給与明細書」の再発行をしないこともあります。会社には「給与明細書」(原本やデータ)を最低5年間は保管する義務があるので、どうしても必要な時はお願いしてみましょう。
ちなみに……
社会保険料の計算を間違っていて多めに天引きされていた、残業手当が少ないなどの証拠としても「給与明細書」は利用できますから、できれば1~2年間くらいは大切に保管したいものです。
納税証明書
身近な「納税証明書」といえば、車検の時に提出する「自動車税納税証明書」などでしょうか。「納税証明書」は一般的に収入証明書として使用しませんが、個人事業主が家屋を購入する場合に所得税等の「納税証明書」(1と2)の提出を求められることがあります。
「納税証明書」の発行場所は証明する税金によって違います。
「自動車税納税証明書」 都道府県税事務所
「軽自動車税納税証明書」 市区町村役場
所得税などの「納税証明書」税務署
それぞれ郵送での請求が可能ですし、所得税等の「納税証明書」はオンラインでの請求も可能です。
就職先が決まると、入社時までに様々な書類の提出を求められることになります。
身元保証書や入社誓約書のほか雇用契約書への署名押印のうえ返送などもありますが、その大半は就職先で用意された用紙に署名押印するものですね。
ところが役場へ行って取得しなければならない書類もあります。
身分証明書や住民票記載事項証明書などがそれにあたります。
そこで就職時に提出を求められることがある、身分証明書や住民票記載事項証明書などについて説明していきます。
身分証明書は本人確認書類とはまったくの別物です
例えば警備会社の警備員として就職する時には、必ず「身分証明書」や「登記されていないことの証明」の提出を求められます。
他の業種でも「身分証明書」や「登記されていないことの証明書」を求められることがあると思いますが、その多くは法令によって就業が規制されているなどの理由から提出が必要となっています。
これらの証明書って何だかわかりますか?
身分証明書
日常生活で本人であることを証明する免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類のことを身分証明書と呼んだりしますが、ここで言う身分証明書とはまったく別のものです。
ここでいう身分証明書とは
- 禁治産または準禁治産宣告の通知を受けていない
- 後見登記の通知を受けていない
- 破産宣告や破産手続開始決定の通知を受けていない
こと証明する書類のことで、本籍のある市区町村役場で取得します。
住民登録している市区町村役場ではなく、本籍地の市区町村役場へ請求する必要がある点に注意してください。
本籍地が現在居住している所とは遠く離れた場所の場合には、郵送で取り寄せることができます。
本籍地の市区町村役場が発行する身分証明書では、2000年3月31日までに禁治産または準禁治産宣告の通知を受けていない、後見登記の通知を受けていないことの証明しかできません。
2000年4月1日に制度が変更されて、破産宣告や破産手続開始決定の通知を受けていないことの証明だけが身分証明書で行われるようになっています。
このため、いま本籍地の市区町村役場で身分証明書を取得した場合、破産宣告や破産手続開始決定の通知を受けていないことの証明と、2000年3月31日までに禁治産または準禁治産宣告の通知を受けていない、後見登記の通知を受けていないことの証明についての証明書となります。
2000年4月1日以降に禁治産(制限行為能力者)または準禁治産宣告(準制限行為能力者)の通知を受けていない、後見登記の通知を受けていないことの証明については、「登記されていないことの証明書」が別途必要になります。
登記されていないことの証明書
2000年4月1日に制度が変更された際に
禁治産→制限行為能力者
禁治産者→成年被後見人
準禁治産→準制限行為能力者
準禁治産者→被保佐人
と名称も変更されるとともに、これまでは本籍のある市区町村役場における戸籍への記録とされてきたものが、法務局での後見登記等ファイルへの登記に変更されました。
2000年4月1日以降に制限行為能力者または準制限行為能力者の登記をされていない、後見登記をされていないことの証明については、法務局において「登記されていないことの証明書」の発行をしてもらうことになります。
「登記をされていないことの証明書」の発行
窓口の場合は「東京法務局民事行政部後見登録課」または「法務局の戸籍課」「地方法務局の戸籍課」で申請します。
※「支局」「出張所」の窓口では発行していません。
郵送の場合は「東京法務局民事行政部後見登録課」のみで取り扱っています。
くわしくは登記されていないことの証明申請(後見登記等ファイル用)をご覧ください。
住民票記載事項証明書
「住民票」というワードが入っていることからも分かるように、「住民票記載事項証明書」は住民登録している市区町村役場で取得します。
多くの場合は用紙を会社側が用意し、その用紙にあなた自身が記入して住民登録している市区町村役場へ持って行き、市区町村役場で保管している住民票と相違ないことを証明する書類となります。
会社によっては用紙を指定していないこともあり、この場合は各市区町村役場の既定の住民票記載事項証明書が発行されます。
各市区町村役場既定の住民票記載事項証明書の場合、証明されるのは氏名(旧氏を併記しておれば旧氏も)・住所・生年月日・性別の4項目が基本で、希望すれば世帯主や続柄(妻・子等)や都道府県のみになりますが本籍の証明もされます。
料金は住民票の写しの発行と同料金のことが多く300円前後です。
会社指定の用紙の場合は書き方に要注意!
住民票に記載されたものと相違のないことを証明するのが住民票記載事項証明書ですから、すべてを同じように書く必要があります。
例えば住所ですが
愛知県名古屋市港区金城ふ頭3丁目2-2 〇〇ハイツ201
の住所の場合住民票には
愛知県名古屋市港区金城ふ頭3丁目2番2-201号
となっているので、住民票どおりに記載する必要があります。
その他
住民票の氏名が旧字体となっておれば、用紙にも旧字体で記入します。
浜 → 濱
辺 → 邊 など
生年月日は和暦で記入します。
明治・大正・昭和・平成・令和
S・H・Rや昭・平・令のように略してはいけません。
続柄は
世帯主本人ならば「世帯主」
世帯主の妻は「妻」
世帯主の夫ならば「夫」
世帯主の子供の場合は「子」
と記します。
用紙の指定がなければ全国のコンビニで取得できます
会社によっては住民票記載事項証明書の用紙を特に指定していないこともありますが、もしもマイナンバーカードを持っていれば、全国のコンビニのマルチコピー機(キオスク端末)で住民票記載事項証明書の取得が可能です。
一部の自治体ではコンビニでの住民票記載事項証明書の発行が非対応となっていることがありますので、各市区町村のHPなどでご確認ください。
住民票で代用はできる?
住民票の写しに比べて住民票記載事項証明書は記載内容が少なくなっています。
ということは、住民票の写しでの代用は可能なように思いますが、各企業ともよけいな個人情報の取得を嫌います。
会社でどうしても必要な個人情報以外を取得することは、情報の管理やプライバシーの侵害の観点からリスクとなるだけです。
住民票記載事項証明書の提出を求められた場合に住民票の写しを提出することは避けるほうが良いでしょう。
無事故・無違反証明書や運転記録証明書
入社先で自動車の運転に関わる仕事に就く場合、「無事故・無違反証明書」や「運転記録証明書」の提出を求められる場合があります。
無事故無違反の人ならば「無事故・無違反証明書」によってそれを証明できますし、過去5年・3年・1年の間の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録の証明は「運転記録証明書」となります。
証明書申込用紙は、警察署・交番・駐在所・各自動車安全運転センター事務所で入手できます。
必要事項を記入して郵便局に交付手数料とともに申し込むか、または各自動車安全運転センター事務所の窓口へ交付手数料とともに提出します。
※各自動車安全運転センター事務所の窓口へ提出しても即日での証明書発行はできないそうです。