2026年4月1日に自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符が導入されます。
どのような運転をすると違反になるのか、違反した場合の反則金や罰金はいくらになるのか、青切符より重い赤切符になるとどのような扱いになるのか、逆に青切符を切るほどではない時の指導警告とはどういうものか。赤切符なんて切られたら自転車とは関係がない運転免許にも影響はできるのかなど、いろいろと気になる部分が多いのでまとめてみました。
・危険で悪質だと判断されると青切符、事故を起こしそうと判断されたり事故を起こせば赤切符
・自転車で酒酔いや酒気帯び運転、死亡事故やひき逃げをした場合、6カ月以内の運転免許停止もある
違反をすると直ちに青切符が切られるわけではない
2026年4月になると、自転車で反則行為をした場面を警察官が見たら(認知)すぐに切符が切られる、そんなイメージが報道によって植え付けられていませんか?
警察庁の説明によると、警察官が交通違反を認知した場合、その悪質性や危険性の高さから切符を切るかどうかが判断されます。歩道をスピードを出して走っているものの、それほど悪質性や危険性はないと判断された場合には、指導警告票が交付されその場で注意される、これまでと同じく指導を優先させるそうです。
また16歳未満は青切符の対象ではなく、指導警告標の代わりに自転車安全指導カードが交付されて注意指導されますが、保護者への連絡などは行われる可能性が高いです。
※学校へも匿名でこのような指導を行った児童・生徒がいると伝えられるようです。

自転車の違反行為
こちらは兵庫県警のHPに掲載されていた、自転車などの軽車両に対する違反行為と反則金の一覧です。
青切符が交付された場合は刑罰の一種の「罰金」ではなく「反則金」で処理されます。

たとえば自転車の二人乗りは「軽車両乗車積載制限違反」に問われるので反則金は3000円。
自転車の右側通行(逆走)は「通行区分違反」として反則金は6000円。
傘をさしての運転やイヤホンを付けての運転は公安委員会遵守事項違反として反則金5000円など、どの違反に該当するのかわかりにくいもののほか、信号無視は反則金6000円などストレートに分かるものまであります。
ほぼ自動車の反則行為をそのまま準用しているようですが、特に自転車で気を付けておきたい反則行為は。

これらの標識のある道路に自転車に乗って入ると「通行禁止違反」として反則金5000円の対象に。自転車を押して歩けば大丈夫。

自転車を除くと表示されていれば入ることはできますが、右の標識の場合は歩行者に注意して徐行運転が必要で、違反すれば歩行者用道路徐行違反として反則金5000円の対象となります。
ちなみに徐行の明確な速度は示されていませんが、おおむね8キロから10キロ以下の速度が徐行だそうです。
自転車は原則車道を走行(歩道や路側帯を走ると通行区分違反として反則金6000円)
車道の端に普通自転車専用通行帯があればそこを走行(自転車専用通行帯以外を走ると通行帯違反として反則金5000円)
自転車道がある時は自転車道を走行(自転車道以外を走行すると自転車道通行義務違反として反則金3000円)
もっとも気を付けたいのは歩道の走行ですね。

歩道にこれらの標識や表示があれば歩道を走ることができます。
これらの標識や表示のない歩道を走れる自転車は13歳未満と70歳以上の人のほか、一定の身体障害を有する方が運転するときに限られます。
ただし、
- 車道の左側を通行することが難しいとき(工事や路上駐車など)
- 著しく自動車の交通量が多い(幹線道路など)
- 車道の幅が狭いなど
- 通行すると事故の危険があるなど
これらに該当する場合は、年齢等の制限なく歩道の走行が認められます。
歩道を自転車で走行する場合には、
- 歩道の中央から車道寄りの部分を徐行して走行する。
- 歩行者の通行を妨げるときは自転車は一時停止(歩道徐行等義務違反として反則金3000円)
歩道を走っていて前から歩行者が歩いてくるので、ベルを鳴らして速度を落とさず、歩行者の進路を変えさせて走り続けた。
これやっている人多いですよね。
実はこの行為は歩道徐行等義務違反として反則行為に該当し、青切符を切られる可能性が高い。
歩道は歩行者が歩くための道ですから、自転車は歩行者の通行を優先させる義務があり、この例だと自転車が速度を落とすまたは一時停止して歩行者の通行を優先させなければいけません。
一時停止標識や止まれの表示がある箇所では、停止線または交差点の直前で一時停止しなければいけません。(指定場所一時不停止等として反則金5000円)
信号機のない横断歩道を渡る歩行者がいるのに停止しなければ、横断歩行者等妨害等として反則金6000円の対象になります。近年自動車に対する取り締まりが強化されていますが、自転車も同様に横断歩道の手前で止まらな帰ればいけません。
おそらくもっと多いと思われるのが、自転車に乗りながらスマホで通話したり画面をじっと見る行為でしょうね。これは携帯電話使用等(保持)の違反で反則金は12000円と、自転車の違反行為では最も高額になっています。
またスマホをを片手に運転しながら人と接触するなど事故を起こしたり、事故を起こしかけたりすれば、青切符ではなく赤切符の対象となります。
それだけスマホを持っての自転車の運転操作は危険だとみなされていますから、行うべきではないですね。
意外と多いのが、警察官の指示に従わずにそのまま走り去ろうとする人。
違反行為を警察官が現認して停止を指示しても無視して走り去ろうとしたり、違反行為を指導警告してもそのまま続けて自転車の運転を続けようとすれば、それぞれの違反行為に対して青切符が切られます。
特に自転車でやっちゃいそうな違反行為を上げましたが、あまり気にせずに運転している方も多いはず。違反をすると直ちに青切符が切られるわけではありませんが、自身が事故に遭わないために、第三者を事故に巻き込まないためにも守っていきましょう。
自転車で赤切符を切られるケース

赤切符とは「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」が正式名称で、簡易形式の捜査書類だそうです。
赤切符を切られるのは反則行為に該当しない自転車の重大な違反の場合です。
- 酒酔い運転(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある)
- 酒気帯び運転(血中0.3mg/ml又は呼気中0.15mg/l以上のアルコールを保有)
- 妨害運転
- 携帯電話使用しながら自転車を運転し、交通の危険を生じさせたとき
これらの行為は赤切符の対象となります。
他には、
- 違反により実際に交通事故を発生させたとき
- 警察官に検挙されたが、その現場で住所や氏名を明らかにしないとき
- 反則行為を認めないとき
などがあります。
青切符の運用開始で、これまでは赤切符で処理されていた反則行為の一部が青切符に移り、赤切符が適用される事案が減ったようですね。
なお青切符は16歳以上の人を対象にしていますが、赤切符は14歳以上が対象となる点は注意が必要です。
自転車運転者講習制度
2015年6月1日に道路交通法の改正が行われ、
- 自転車を運転して危険行為を行って取締りを受けた
- 交通事故を起こして送致された者
これらに該当する人のうち、3年以内に違反・事故を合わせて2回以上行った場合は、自転車運転者講習を受けなければいけません。
自転車運転者講習制度の対象となる危険行為は下記の16種類です。
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 歩行者用道路徐行違反
- 通行区分違反
- 路側帯進行方法違反
- 遮断踏切立入り
- 優先道路通行車妨害等
- 交差点優先車妨害
- 環状交差点通行車妨害等
- 指定場所一時不停止等
- 歩道通行時の通行方法違反
- 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
- 酒気帯び運転等
- 安全運転義務違反
- 携帯電話使用等
- 妨害運転
自転車運転者講習は一回3時間で費用は6150円必要ですが、受講命令を無視して3カ月以内に受けなければ5万円以下の罰金が科されます。
講習では、小テストによる交通ルールの理解度のチェック、犯しやすい違反行為の事例紹介、視聴覚教材による危険性の疑似体験などが行われます。
運転免許への影響
自転車で違反行為を行ったり、赤切符を切られるような重大な違反を犯しても、運転免許の点数には影響しません。
ただし、自転車でひき逃げや死亡事故など重大な交通事故を起こしたり、酒酔い運転や酒気帯び運転など特に悪質で危険な違反を犯した場合には、自動車等を運転させることで交通に危険を生じさせるおそれがあるとして、最高で6カ月の免許停止処分を公安委員会が下すことがあります。
ただの脅しかと思ったのですが、実際に運転免許の停止処分を科されたケースがあるので、自転車だから関係がないと高を括って違反行為をしないように。
青切符や赤切符を切られてからの流れ
青切符や赤切符の制度は運転免許での流れと同じです。
- 青切符
青切符の場合は一緒に渡された「納付書」を使い、銀行や郵便局などで交付後7日以内に反則金を仮納付すれば手続きは終わります。
裁判にかけられたり、「前科」が付くなどもありません。
不満な方は反則金の支払いを拒否して裁判に持ち込むこともできますが、裁判で負ければ「反則金」と同額の「罰金」が科され、さらに「前科」が付きます。
- 赤切符
赤切符に該当する場合は、現場において違反者の特定と事実関係を捜査。実況見分調書の作成、違反者の供述から供述調書を作成します。急いでいると言った理由は聞いてもらえず、ある程度の時間はかかってしまいます。
- 出頭日時が指定されます。(警察と検察による取り調べ)
- 検察官が起訴をし裁判を受けますが、検察官の提出した書面だけで審理される略式裁判です。
- 罰金刑が略式命令で出されるので納付します、ちなみに「前科」が付きます。
この3つは同じ日に行われます。
なお、略式裁判では自分の意見が述べられませんが、略式裁判を拒否して正式な裁判を受けることもできます。当然ですが日数も手間もかかりますが、正式に裁判を受けることは権利ですから行使することに問題はありません。
青切符は行政処分として反則金が徴収され、収めれば刑事処分は問われず「前科」が付くことはありません。
これに対して自転車の赤切符は点数が引かれるなどの行政処分はありませんが、刑事処分として「罰金刑」が科され「前科」が付きます。青切符の反則金とは違い赤切符は刑罰が科されるわけです。
ざっとまとめてみましたが、子供を乗せていればいくら交通量が少なくても車道は走れない、といった意見も当然出てきますが、実際問題として、歩道での自転車の走り方を守っていれば警察官にとがめられることはほぼないのではないでしょうか。
とにかく周りの人を傷つけないために、自身も傷つかないように、安全に自転車を運転しましょう。
(断りのない画像は警察庁交通局 自転車ルールブックからお借りしました)
