運転免許取消し後に再取得するには?取消処分者講習について

警察

運転免許の取消し処分は平成28年から令和元年まで毎年4万人以上いましたが、令和2年以降は減少していますがそれでも令和6年は35737人もいます。この人数は毎日全国で98人程度が免許取り消しになっているわけですから、決して少ない人数ではありません。

警察庁 運転免許統計より

取消処分は違反内容、前歴、結果の重大性などによって、1年から10年の欠格期間が定められていますが、欠格期間を過ぎればすぐに運転免許の再取得は可能なのでしょうか。

ここでは運転免許取消し処分を受けた方が、再び運転免許証を取得する際の注意点などを見ていきます。

 

 

運転免許取消後の再取得には取消処分者講習を受講

事故や違反によって運転免許が取消された方が再度運転免許を取得するには、取消処分者講習を受講して「取消処分者講習終了証明書」を発行してもらう必要があります。

運転免許証取得時には「取消処分者講習終了証明書」を提出しなければ試験を受けることができません。

なお「取消処分者講習終了証明書」は発行から一年間有効ですから、発行後一年以内に免許証を取らなければただの紙くずに。

何せ講習手数料は31200円(2025/9/末現在)も必要ですから、もったいなすぎますよね。

 

なお酒酔い運転や酒気帯び運転(飲酒による交通事故を含む。)により取消処分となった人は「飲酒取消処分者講習」を受講しなければいけません。

 

取消処分者講習は平日に続けて2日間行われます。

1日目は7時間、2日目は6時間の受講となりますので、社会人の方は時間を作るのが大変かもしれません。

飲酒取消処分者講習も2日間あるのですが取消処分者講習とは違い、1日目受講後の30日くらい先の日が指定されます。

こちらの講習も1日目は7時間、2日目は6時間の受講となります。

※飲酒取消処分者講習を受講した方は取消処分者講習の受講の必要はありません。

 

取消処分者講習や飲酒取消処分者講習は都道府県によって、申し込む場所(警察署・運転免許試験場)や方法(本人が来署して申し込み・電話申し込み)などが少しずつ違います。

なお取消処分者講習や飲酒取消処分者講習は欠格期間中でも受講できます。あくまで欠格期間は免許証の再取得が可能になるまでの期間の事。欠格期間内に取消処分者講習または飲酒取消処分者講習を受講して取消処分者講習終了証明書を取得し、欠格期間が過ぎてから免許を取得すれば良いわけです。

※取消処分者講習終了証明書の有効期間は1年間ですから注意してくださいね。

 

 

四輪講習の場合は仮免許が必要な都道府県がある

取消処分者講習や飲酒取消処分者講習は四輪講習と二輪講習(二輪・原付)に分けられます。

なお取消処分者講習は次に免許取得をしたい種類で受講すればOKです。

普通車と普通二輪を取り消された方が、原付で取消処分者講習や飲酒取消処分者講習を受講するのも問題ありません

 

四輪の取消処分者講習・飲酒取消処分者講習は都道府県によっては路上教習が実施されるために、仮免許を事前に取得し講習当日には仮運転免許証を持参しなければならないことがあります。

仮免許必須となっている都道府県は

  • 山形県
  • 埼玉県
  • 富山県
  • 岐阜県
  • 愛知県
  • 滋賀県(仮免許を取得していない場合は予約時に相談)
  • 大阪府
  • 兵庫県
  • 奈良県
  • 和歌山県
  • 鳥取県
  • 広島県
  • 山口県

西日本を中心に取消処分者講習を受ける際には仮免許必須となっています。

※仮免許は免許が取消され欠格期間中でも取得できます。

 

取消処分者講習は居住地以外の都道府県でも受講できる?

制度上は住所地以外の都道府県以外の取消処分者講習を受けることも可能です。

東京や大阪など大都市では、取消処分講習を申し込んでも2~3ヵ月先しか予約が取れないことも珍しくはありません。そこで近隣の都道府県での取消処分講習を申し込めば、早く講習が受けられるかもしれないということになるのです。

ただしあくまで制度上は他府県での取消処分者講習を受けることができるというだけで、一部の都道府県警では住民票の登録がある県民に限るとしている所もあります。

 

 

二輪の取消処分者講習を受けて普通自動車免許は取得できる?

元々普通二輪と普通自動車の免許を持っていて取消となった。

免許を再取得したいが、まずは普通二輪の免許から取ろうと取消処分者講習は二輪で受講した。でも自動車教習所に通いすんなりと卒検もクリアしたので、普通二輪の前に普通自動車の免許を取ることにした。

実はこれOKなのです。

取消処分者講習は実車での講習もあるので、四輪と二輪は別で行われているのですが、講習を受けた後に受け取る「取消処分者講習終了証明書」には二輪の講習を受けたとか四輪の講習を受けたといった記載はありません。

 

取消処分者講習を原付で受けて先に普通自動車を取得してもいいし、四輪を受講して普通二輪の免許を先に取得するのもOKです。

ただ取消処分者講習とはいえ、実車講習ではかなり細かい部分まで教えてもらうことができるので、運転免許試験場での「一発試験」にかなり役立つとも言われています。

そう考えるとせっかく二輪で講習を受けたのならば、二輪の免許を一発試験で取らなければもったいないかも。

 

 

取消処分者講習の申し込みはどこで?

取消処分者講習はいきなり運転免許試験場へ行っても受講できません。

あらかじめ予約を取っておく必要があるのですが、人口の多い都道府県では申込者も多く、予約したものの数か月先にならないと受講できないこともあります。

混んでいる場合は2~3か月待ちとなるようですし、受講が終わって発行される「取消処分者講習終了証明書」は一年間有効ですから、うまく調整して免許証を取得するようにしなくちゃいけません。

 

申込場所や方法は都道府県によって異なります。

 

運転免許試験場または免許センターへ行って申し込む(電話予約不可)

北海道・青森・福島・茨城・東京・新潟・福井・山梨・岐阜・京都・大阪・兵庫・奈良・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・佐賀・熊本・宮崎・沖縄

 

最寄りの警察署交通課へ行って申し込む(電話予約不可)

北海道・青森・福島・新潟・福井・長野・岐阜・京都・兵庫・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・佐賀・熊本・宮崎

 

運転免許試験場または運転免許センターへ行くか電話で申し込む

宮城・秋田・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・富山・石川・静岡・愛知・滋賀・和歌山・鳥取・島根(島根は電話で申込)・岡山・山口・大分・鹿児島

 

取消処分者講習申込書を郵送する

茨城

 

運転免許センターや最寄りの警察署などへ問い合わせ

山形・岩手(岩手は受験資格照会後に郵送で申込)・三重・広島・長崎

 

※広島や宮崎では指定された一部の自動車教習で申込を受け付けています。

 

申込は本人が行う

東京など一部の都道府県を除き、代理人による申し込みは受け付けていません。

必ず取消処分者講習を受講する本人が申し込みを行ってください。

 

先にも書いたとおり、取消処分者講習は欠格期間(免許取り消しの期間)中でも受講できます。

受講後に発行される「取消処分者講習終了証明書」は発行から一年間有効ですので、いくら欠格期間に受講ができるからと言っても、まだ欠格期間が一年近く残っている状態では受講しないほうが良いですよ。

「取消処分者講習終了証明書」の有効期限が切れればただの紙くずで、再び受講しなければ免許の取得ができません。

また費用は31200円(2025/9/30現在)と高額ですから、無駄にしないようにしましょう。

ちなみに費用は受講一日目に支払いますが、都道府県によって現金で支払う所もあれば、キャッシュレス決済が可能なところなどバラバラです。一部では現金での支払いが不可な所も。取消処分者講習の申し込み時にお尋ねください。

 

 

取消処分者講習の内容

取消処分者講習は運転免許試験場・運転免許センターのほか、各都道府県警が指定した自動車教習所でも受講ができます。この場合でも講習の申し込みは前項のとおりです。

※飲酒取消処分者講習は受講できる場所が限定されることが多いです。

また取消処分者講習の内容については以下のように決まっています。

 

取消処分者講習

1日目

  • 運転適性検査
  • 座学やディスカッション
  • シミュレーターによる運転の危険性のチェック
  • 運転技能診断(実際にコースまたは路上を走ります)
  • カウンセリング

2日目

  • 運転適性検査(視聴覚教材使用)
  • シミュレーターによる運転の危険性のチェック
  • 運転技能診断(実際にコースまたは路上を走ります)
  • 座学・DVD視聴・感想文

全参加者はおおむね5~6名程度で、2~3名の少人数で講習を受けることが多いです。

 

飲酒取消処分者講習

1日目

  • 呼気検査・運転適性検査
  • 座学やディスカッション
  • シミュレーターによる運転の危険性のチェック
  • 運転技能診断(実際にコースまたは路上を走ります)
  • アルコールスクリーニングテスト
  • ブリーフインターベンション(アルコール依存の程度の自覚と飲酒行動の改善の指導)
  • カウンセリング

 

2日目は30日程度経過してから行われます。

この30日程度の間には「飲酒日記」を付けなければならず、2日目にこの日記を提出します。

禁酒日記ではないので、どのような時にどの程度飲んだのかを書けばよく、この日記をもとにして2日目にカウンセリング等も行われます。

 

2日目

  • 呼気検査
  • 危険予知運転などを視聴覚教材で勉強
  • シミュレーターによる運転の危険性のチェック
  • 運転技能診断(実際にコースまたは路上を走ります)
  • ブリーフインターベンション(1日目に設定した飲酒の達成状況や飲酒量の変化を確認)
  • ディスカッション
  • 感想文

 

(飲酒)取消処分者講習における感想文

講習の締めくくりに感想文を書きます。

なんか嫌ですよね、感想文なんて書くのは。

そんなに難しく考える必要はなく、2日間の講習でどのようなことを感じたのか。

免許取り消しになった行動を顧みて反省し、今度免許を取得した際にはどのようなことを注意しながら運転するのか。

こういったことを書けばOKです。

 

文字数を気にされる方もおられることでしょう。

文量としては400字詰め原稿用紙で1~2枚分というところでしょうか。

ちなみに茨城県警では「取消処分者講習受講者文集」を公開しています。

ぜひ参考にしてください。

 

その他注意事項

持ち物は都道府県によって違いますが、おおむね下記のような感じです。

  • 本籍(または国籍)の記載がある住民票の写し
    (コピー不可・住民番号(マイナンバー)の記載がないもの、仮免許があれば不必要な県も)
  • 身分証明書(パスポートや保険証等、仮免許があれば不必要な県も)
    住民票の写しまたは身分証明書どちらかでよい県もあります
  • 仮免許(持っていれば必ず、必要な県では忘れないように)
  • 証明写真2枚(3.0cm×2.4cm・申請前6ヶ月以内に撮影した無帽、正面、無背景のもの)
  • 眼鏡またはコンタクトレンズ(受講前に視力検査があります、必要な方は必ず持参)
  • 取消処分書(持っていたら、申込時に提出することもある)
  • 受講料の31200円
  • 印鑑(スタンプ印不可)など

取消処分講習を申し込んだときの注意書きなどを参照してください。

 

運転しますのでハイヒールやサンダルでは受講させてもらえません。

二輪の講習を受ける方は長袖・長ズボン・手袋・ヘルメットが必要です。雨天でも講習を行うので雨ガッパも用意しておきましょう。

 

講習は時間厳守です!

少しでも遅れたりすると受講させてもらえません。また受講中は眠たくもなるのですが、居眠りしていると退出させられます。

31200円も支払うのですから、もったいないことはやめておきましょう。

青切符のサインを拒否したり反則金を支払わないとどうなるのか?

警察

免許証の更新の際に優良運転者講習を受けて免許証の更新を行った人は、概ね毎年60%を下回る程度だそうです。
初回更新者講習または優良運転者講習以外の講習を受けて免許証の更新を行った人の割合は、毎年概ね30%を超えるそうです。
それだけ交通違反によって青切符や赤切符を切られている方がいるということですね。
青切符ならば銀行等で払い込めばそれで手続きは終了するのですが、払わないといったいどうなるのでしょうか。
また警察官から手渡される青切符へのサインを拒否した場合、いったいどうなるのでしょうか。

 

 

青切符と赤切符の違い

ご存じの方も多いと思いますが、青切符は比較的軽微な違反(反則行為)を犯した場合に交付されるもので、違反点数5点以下のものが対象となります。

赤切符は6点以上の違反(非反則行為)の場合に交付されるもので、青切符の対象となる違反に比べると重い違反だということができます。

青切符の正式名称は「交通反則告知書・免許証保管証」、赤切符は「告知票・免許証保管証」が正式な名称です。

青切符が切られるということは免許停止や取消は免れるかもしれないが(累積点数による)、赤切符が切られたら免許停止または取消の対象である6点以上が付加されるということです。

※青切符や赤切符の交付に関して
これらの“切符”は刑事処分(反則金や罰金など)に関する書類です。
これに対して違反点数は行政処分です。
“切符”と行政処分には直接の関係はなく、“切符”が交付されなくても違反点数が付加されたり、免許停止や免許取消の処分を受けることはあります。

 

 

青切符へのサイン

交通違反を犯した場合に警察官によって青切符や赤切符が交付されるわけですが、これらの切符へのサインを拒否したらいったいどうなるのでしょうか。

これらの切符にサインをするということは、交通違反を犯したことを認めているということ。
青切符の場合はさらに、正式な裁判を受けずに反則金の支払いで今回のことを終わりにしたいという意思の表示でもあります。

取り締まり方法に納得がいかない、違反したとは思っていない、正式な裁判で決着をつけたいと思っている場合にはサインをしなくても良いのです。

また指印(指にスタンプのインクを付けて押す)を要求されますが、ハンコを持っていればハンコでも良いですし、押したくなければ押さなくても大丈夫です。

以前はサインとともに半ば強制的に指印を求められましたが、押しても押さなくてもどちらでも良いのです。

 

納付書で反則金を支払う

青切符にサインしてもしなくても、いっしょに反則金仮納付書(納付書・領収証書)が手渡されます。

反則金仮納付書の交付を受けた翌日から起算して7日以内に銀行や郵便局で反則金を仮納付すれば終了します。

これを「交通反則通告制度」といい、本当はほんの数kmの速度超過でも法律を破ったことになり裁判で罰金刑が言い渡されるのが本筋ですが、あまりにも件数が多いことで警察や検察が対処しきれないことや違反者への負担も大きすぎることから「交通反則通告制度」というものを作り、軽微な違反の場合は反則金を納めれば刑事罰は受けずに済むという制度を作ったのです。

道路交通法では速度超過は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金と定められており、先ほども記したとおりほんの数㎞でも超過すれば本筋では懲役または罰金刑となります。

しかし「交通反則通告制度」によって15㎞未満の速度超過は9000円の反則金となっています。

ちなみに罰金は刑罰ですから前科が付きますが、反則金は刑罰ではないため前科は付きません。

 

反則金仮納付書で反則金を支払わなかったら

青切符にサインして反則金仮納付書を受取ったものの期限内に払い込むのを忘れていたり、やっぱり取り締まりに納得がいかないから払わない!という方もおられることでしょう。

反則金の支払いは任意であり、青切符の裏面にもそのことが書いてあります。

反則金を支払うことで交通反則通告制度が適用されて、刑事上の責任(罰金や懲役)は受けずに済みます。

支払わなければ交通反則通告制度が適用されず、本筋である道路交通法の違反容疑として裁判への流れとなっていきます。

ただし反則金仮納付書で期限内に反則金を支払わなかったとしても、ただちに起訴されて裁判とはなりません。

青切符を交付されて40日ほど経った頃に、交通反則通告センターから通告書と納付書が送付されてきます。

この納付書を受け取った翌日から起算して10日以内に納付すれば交通反則通告制度が適用されて、刑事上の責任(罰金や懲役)は受けずに済みます。

ただし反則金に郵送代などが上乗せされています。

またこちらから交通反則通告センターへ出頭して新たな納付書を受け取ることもできます。この場合には郵送代の上乗せはありません。

郵送されてきた通告書と納付書でも納付を行わなかった場合、その後も何回かは督促状とともに納付書が送られてきます。

また交通反則通告センターから出頭要請が郵送で送られてきます。

 

青切符にサインしなかった場合

青切符にサインしないということは、交通違反について認めていないので交通反則通告制度による反則金の支払いを拒否したということになります。

サインを拒否した場合、通常はその場で警察官が「供述調書」を作成します。

どこで、どういった運転した際に、どのような反則行為を行ったのかを細かく書いて作成され、最後にサインを求められます。

サインをすればこの供述調書に書かれたことに間違いはありませんと認めたことになります。

この供述調書へのサインも拒否することができます。

サインをしなくても反則金仮納付書が渡され、期限までに銀行等で支払えばそれで終了です。

サインもせず受け取った納付書で支払わなかったとしても、即起訴!即裁判!といった流れにはならず、このケースでも約40日後に交通反則通告センターから通告書と納付書が送付されてきます。

この流れはサインをしなかったとしても、サインしながら反則金を支払わない方と同じですね。

郵送されてきた通告書と納付書でも納付を行わなかった場合、その後も何回かは督促状とともに納付書が送られてきたり出頭要請が送られてくるのは上記のケースと同じです。

 

それでも支払わなかったり出頭しなかったら

交通反則通告センターから督促状、納付書、出頭要請が送られてきても無視していると

「反則金未納通知書最終通知」

が送られてきます。

 

交通反則通告センターまたは最寄りの警察署へ出頭し、銀行などで反則金を支払うように書かれたハガキですが、この反則金未納通知書最終通知は名前の通り、交通反則通告制度を適用して反則金を納めるだけで終わらせる最後のタイミングとなります。

これも無視すると交通違反は事件(道路交通法違反)へと発展し、反則行為を犯した反則者から被疑者(容疑者)へと扱いが変わります。

これまでは主に交通反則通告センターからの出頭要請でしたが、事情を聞くため警察から出頭要請されます。

この出頭要請は任意なので行かなくても良いですし、出頭するにしても仕事などの都合で日時を変更することも可能です。

この出頭要請は応じなければ何回かは同じように要請されます。

 

その後は送検されて以降は検察庁(区検察庁)からの出頭要請へと変わっていきます。

検察官からの事情聴取を受けて、検察が起訴するか不起訴とするかを決めるわけです。

 

 

略式裁判と通常裁判

・警察の取調べ
・検察庁の取調べ
・裁判
・罰金の納付
を1日(数時間)で全て済ませてしまう三者即日処理とよばれる処理の方法があり、取り調べと言っても書類への記名などだけで、その書類をもとに裁判(略式裁判)が行われるものがあります。

こちらの主張を述べる機会もまったくありませんし、ただ罰金の略式命令が下されるのが略式裁判です。

検察庁からの出頭要請に応じて取り調べを受けたときには、通常の裁判では時間もかかるしと略式裁判を強く推してきます。

なぜかと言うと

略式裁判ではほぼ100%罰金の略式命令が下されるからです。

取り締まり方法に納得がいかない、違反したとは思っていない、正式な裁判で決着をつけたいと思っているのならば応じずに、通常裁判を希望します。

ちなみにあなた自身が認めなければ略式裁判は行えませんので、通常の裁判で決着をつけたい人は略式裁判は拒否します。

 

 

裁判所から特別送達という手紙が送られてくる

特別送達とは裁判所から送られてくる書留郵便で中身は訴状です。

つまりは正式な裁判の日時が決まったということが伝えられるわけです。

裁判は欠席してもかまいませんが、欠席裁判と言って検察側の主張がすべて認められることになり、罰金刑が言い渡されることになります。

金額は反則金と同等なのですが(時には国選弁護士費用などが上乗せされるケースも)罰金刑ですから前科が付きます。つまりは前科者ということですね。

略式裁判を拒否したのに通常の裁判を欠席していたのでは意味がありません。

 

 

必ず起訴されるわけではないが

ここまで青切符へのサインを拒否したり、反則金を納めなかったり、出頭要請を無視し続けた場合の最悪のシナリオを見てきたわけですが、実際にはここまでひどい状態になることはあまりありません。

検察庁(区検察庁)からの出頭要請がない場合もありますし、出頭してご自身の意見を述べはしたけどその後何の連絡もなく終わってしまうケースも少なくはありません。

つまりは起訴されなかった(不起訴または起訴猶予)ということですね。

こうなると反則金も罰金も払わずにおしまいということになります。

実際に通常の裁判にまで至るケースはかなり少ないと言われてはいますが、0%ではありません。

これらは出頭要請に応じている場合だと言えます。

 

しかし警察や検察からの出頭要請を無視し続けた結果、逮捕されるケースは少なくはありません。

出頭要請に応じない人の自宅へ警察が来て、その場で逮捕されるということもあります。

また出頭要請を無視し続けることで警察や検察の心証を悪くすることになり、起訴される可能性が高くなるともいえます。

「危険だと分かっているのならばその危険を回避させるべきなのに、隠れて捕まえるといった取り締まり方法に納得がいかない」

「違反などしていない」

といった方は裁判も辞さない覚悟で臨むのは良いと思います。

その場合ならば出頭してご自身の思うことをすべて吐き出すことでしょう。

しかし、ただ反則金を支払いたくないといった理由で警察や検察からの要請をすべて無視するのは、ちょっと違うような気がしますし、起訴されても仕方がないのかなと思います。

 

ちなみに反則金や罰金の支払いを免れることができても、違反点数はこれとは関係なく付加されることが多いです。

起訴されずに刑事上の処分である反則金や罰金は無くなったとしても、行政上の処分である違反点数は起訴不起訴に関係なく付加されるのです。

通常このケースの場合は公安委員会において「聴聞」の場が設けられて、意見を言うことができます。

それでも警察・公安委員会の決定が覆らず、不起訴になったのに違反点数だけはしっかり加算されるケースがかなり多いようです。

元々違反自体が存在しないから不起訴になったのに、なぜ点違反数が付加されるんだ!と言って裁判を起こすケースもあるようですが、そこまでになると個人では闘えませんから弁護士さんに相談してください。